唾液と虫歯の関係について【患者様向け】

唾液と虫歯 患者様向け情報

この記事では唾液と虫歯の関係について、これまでの私の臨床経験と知見を中心に分かりやすくまとめました。

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唾液とは

唾液は99.5%が水分で、その他はカルシウム、リン酸、ナトリウム、抗菌物質、免疫物質等で構成されています。

唾液は1日で約1〜1.5ℓ(成人の場合)も出ますが、30代をピークにして減少し、70代では30代の約3割に減少すると言われています。唾液の量は食事中に増え、睡眠中は一気に減少します。

唾液の効果

・自浄作用:口の中の食べかす等を洗い流す働きです。
・消化作用:アミラーゼ酵素によって食べ物を消化する働きです。
・抗菌作用:抗菌物質によって細菌やウイルスから防御する働きです。
・粘膜保護作用:ムチンによって粘膜に傷ができないようにする働きです。
・中和作用:緩衝成分によって口の中を中和する働きです。
・再石灰化作用:カルシウムとリン酸によって歯の再石灰化、強化して虫歯を防ぎます。

唾液量による影響

唾液の量が減ると口が乾き、虫歯や歯周病になりやすくなる、口内炎ができやすくなる等の影響があります。

唾液を増やすためには、小まめに水分の補給をする、ガムをかむ、舌を動かす、唾液腺マッサージをする等の方法があります。

虫歯について

歯、虫歯菌、糖質の3つが揃った状況で時間が経過すると、虫歯の発生が始まります。
そのため、歯磨きを丁寧にしていても虫歯になりやすい人はいますし、歯磨きが上手に出来ていなくても虫歯にならない人もいます。

原因は食べカスをエサにして歯に細菌が付き、どんどん増えていきます。そして細菌のかたまりが汚れ(プラーク)を作り、歯にくっつきます。
虫歯菌がプラークの中で酸を出していくことで、歯が溶け、虫歯になっていくのです。

虫歯の進行

CO(第1段階):エナメル質表面が少し溶けている状態。

C1(第2段階):エナメル質内部まで脱灰〈だっかい〉(歯のエナメル質からリンやカルシウムが溶け出すこと)して穴が開いた状態。

C2(第3段階):虫歯がエナメル質を越えて象牙質にまで達した状態。

C3(第4段階):虫歯が象牙質を越えて歯髄〈しずい〉(歯の神経)にまで達した状態。

C4(第5段階):虫歯により歯のほとんどが崩壊し、歯根〈しこん〉(歯茎に埋まって見えない部分)だけになる状態。

つまり、唾液の量が減ると、唾液の効果(自浄作用・消化作用・抗菌作用・粘膜保護作用・中和作用・再石灰化作用)が小さくなるため、口が乾き、虫歯になりやすくなります。
口が乾くなどの症状がある方は、かかりつけの歯科医師に相談してみて下さい。

今回は唾液と虫歯の関係についてまとめてみました。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。

葵会グループ
AOI国際病院 歯科口腔外科部長(神奈川県川崎市川崎区)
医療創生大学 歯科衛生専門学校校長(千葉県柏市)
田島聖士

【参考文献】
・新版家族のための歯と口の健康百科(伊藤公一他、医歯薬出版株式会社)

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