この記事では、Amazon KDP(アマゾン・キンドル・ダイレクト・パブリッシング)からペーパーバック版で歯科(医療)専門書籍を、初期投資なしで在庫リスクなく出版社を介さないでセルフ出版する新しい方法について、私の経験(2024年4月1日に「インプラント辞典2024」を出版)からまとめてみました。
私は全ての原稿をMicrosoft Wordを使用して執筆しました。
ペーパーバック用の具体的なWord設定、原稿の書き方等については、以下の有料noteにて詳細に記載しております。
ご希望の方には、実際のWord原稿(9ページ分)をメールいたしますので、書籍執筆にあたり、タイトル・目次・序文・本文・索引・参考文献・著者略歴・著作権・図書番号(ISBN)などの記載方法をそのままご利用頂くことも可能です。
表紙の作製(外注)以外は全て自分で行っており、本記事では書籍化までの一連の作業や私が試したことについてご紹介いたします。
Amazon KDP について
2021年10月よりAmazon KDP(アマゾン・キンドル・ダイレクト・パブリッシング)が開始した新しいシステムで、個人が出版社を介さず在庫リスクなく書籍(ペーパーバック)をセルフ出版する方法です。
出版方法は、プリントオンデマンド(POD)と呼ばれる、注文に応じて印刷して発送するため、在庫を抱えるリスクがありません。
印刷コストは1冊当たりの料金が決まっており、ロイヤリティ(利益)から印刷代が引かれるため、印刷に関する初期投資はありません。
出版までの流れ
・原稿の作成
・表紙を作成(外注)
・Amazon KDPサイトに書籍情報の登録
・校正刷りの依頼
・校正刷りの注文
・校正刷りの確認(注文から2日で配達)
・Amazonの出版審査
・出版(出版申請から2日で許可)
Amazon KDPで販売するメリット
・在庫の心配がいらない
プリントオンデマンド(POD)方式のため、在庫を抱えるリスクがありません。また、紙の仕入れや印刷、製本、保管料などの心配もありません。
・流通コストがかからない
書店に書籍を流通させるには、出版社へ委託販売料などが流通コストとして必要になるが、Amazon KDPではそのコストがかかりません。
・半永久的に販売ができる
通常の書籍は売り上げや年数により、返本、出版指し止めや絶版になるが、Amazon KDPであれば継続的に販売が可能です。
・Amazonマーケットでの販売
世界最大のECサイトのAmazonで売ることができる。
・ロイヤリティ(印税)が高い
通常の専門書籍の印税が10%であるのに対し、Amazon KDPでは60%となっています。
ロイヤリティ計算ツール(ペーパーバック)はこちら。
・デンタルブックセンター シエン社(歯科書籍専門店)での販売
株式会社シエン社に、セルフ出版した本の取り扱いをしてもらえるかの問い合わせたところ、販売許可を頂き、店頭とオンライン書店の両方で取り扱いをして頂いています。
Amazon KDPで販売するデメリット(歯科専門書籍の場合)
・歯科ディーラーとの取引が難しい
現状の歯科書籍の販路(歯科医院への広報)として、最も大きい歯科ディーラーによる取り扱いが難しいため販売部数が少なくなります。
現時点で、本書の取り扱いをして頂いている歯科ディーラーは、ケーオーデンタル株式会社のみです(株式会社シエン社経由)。その他の歯科ディーラーは未だ検討中の状況です。
上記に付随する形として、WHITE CROSS株式会社のサービスとしてオンライン上の「書店」サービスがありますが、こちらも取り扱い書籍と商流は歯科ディーラーが管理しておりWHITE CROSS側では制御できず、「WHITE CROSS 書店」に掲載して頂くことはできておりません。
原稿の作成
私は原稿として、インプラント170種類のデータ(デンタルエックス線写真、フィクスチャーの写真、プラットフォーム部の写真、補綴時推奨トルク値、メーカーの問い合わせ先など)、エックス線画像によるインプラント種類を判別するためのフローチャート、インプラント13分類をまとめ書籍化しました。
原稿量
文章:81,082文字、A4で211ページ
写真:550枚
表紙の作成(外注)
表紙はココナラで発注しました。
ココナラにはAmazon ペーパーバック用の表紙をデザインして頂ける方が多くいますので、良さそうな方を見つけて外注しました。
私は、Amazon ペーパーバック用とnote用の表紙を約1万円で発注し、何度か校正を重ねて表紙を完成させました。
ペーパーバックの表紙は、裏表紙・背表紙・表表紙を1つのPDFファイル像に含める必要があります。
また、表紙サイズの大きさは、判型やページ数により異なります。
表紙計算ツールはこちら。
Amazon KDPサイトに書籍情報の登録
ペーパーバックの詳細情報として、本のタイトル、著者、内容紹介、キーワード、出版日、発売日等を入力します。
次に、ペーパーバックのコンテンツとして「無料のKDP ISBNを取得」を行いました。
ちなみに、ISBNとは「International Standard Book Number」の略で、国際標準図書番号のことです。書籍などの図書の特定や書店流通に必要なもので世界共通のコードになります。
また、下記のように内容を入力していきました。
・印刷オプション:本文(プレミアムカラー)
・判型:210×269.9mm
・裁ち落とし設定:裁ち落としなし
・ペーパーバックの表紙仕上げ:光沢なし
・ページを読む方向:左から右(横書き)
原稿と表紙のPDFファイルをアップロードします。
本のプレビューアーを起動し、内容を確認します。
また、ここまでの設定で印刷コストが表示されます。
次に、ペーパーバックの価格設定を行います。
・出版地域:すべての地域
・主なマーケットプレイス:Amazon.co.jp
・価格設定:希望小売価格 ¥11,000
校正刷りの依頼
「校正刷りを依頼」をクリックして、返答を待ちます。
校正刷りの注文
校正刷り依頼後、約2時間に登録したメールアドレスに連絡があり、注文可能となりました。
通常のアマゾンサイトから注文します。
校正刷りの確認
注文してから2日で、サンプル本が配達されました。
表紙に「再販禁止」の文字が印刷されていましたが、書籍内部にはプリントされていませんでした。
Amazonの出版審査
「ペーパーバックを出版」をクリックして、出版審査を受けます。
Amazon社員による確認が行われるようです。
出版
出版申請から2日後に出版許可を頂きました。
発売日以降に通常どおり注文することができ、また本の修正(一部の内容)は発売日の5日前までは可能です。
ロイヤリティ
ペーパーバックのロイヤリティ(著者収益・印税)は、希望小売価格の60%です。
また、印刷代はロイヤリティから差し引かれます。
印刷コストおよびロイヤリティ計算ツール(ペーパーバック)はこちら。
Amazonランキング
2024年4月1日発売で、4月3日から口腔外科学分野で1位を獲得できました。
有料noteでデータ販売
私は書籍「インプラント辞典 2024」と同じ内容を有料noteでも販売しております。
本書の内容をPCやスマートフォンからデータとして閲覧できるように、noteを利用しました。
また、有料noteでのロイヤリティは約80%でした。
本記事の内容が少しでも参考になれば幸甚です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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