子どもが歯をぶつけた時の対応と治療法について【患者様向け】

子供の口腔外傷 患者様向け情報

この記事では、子どもが歯をぶつけた時の対応と治療法について、これまでの私の臨床経験と知見を中心に分かりやすくまとめました。

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受傷しやすい年齢

・1歳〜2歳の歩き始めの頃
・3歳~6歳の走って遊ぶようになる頃

これらの時期は、転倒や衝突によって、上顎の前歯(乳歯または永久歯)をぶつけやすいので注意が必要です。

症状1:歯が欠けた、折れた

欠けた歯の大きさ等によって対応が異なります。

小さく欠けた場合:白い詰め物で治療します。
大きく欠けた場合:神経(歯髄)の治療が必要になることがあります。
歯根が折れた場合:抜歯になることがあります。

症状2:歯の周り(歯と歯茎の隙間)から出血している

軽い歯の外傷で、出血は自然と止まることが多いです。
歯の位置がずれていなく、グラグラしていない場合は経過観察になります。

症状3:歯がグラグラ揺れている

歯の位置がずれていて、グラグラしている場合は、局所麻酔後に歯の位置を戻して固定をする必要があります。

症状4:歯が抜けた

局所麻酔後に歯の位置を戻して固定をすることが第一選択になります。
そのためには、歯が抜けてから直ぐに、歯を持って歯科医院に行く必要があります。

抜けた歯を持って行く際の注意点は、歯を乾燥させないよう牛乳等に浸して速やかに受診して下さい。

症状5:歯が変色した

受傷してから1カ月以降に歯の色が変わる場合があります。

この場合は、神経にダメージがあることが多く、これから生えてくる永久歯に影響が出る可能性もあるため、早めの歯科受診をお勧めします。

症状6:口の中を切った、出血が止まらない

受傷により、歯肉、口唇、口の中の粘膜が切れていることが多いです。まずはハンカチやタオル等で圧迫して止血するように押さえます。

深い傷や大きい傷の場合は、縫合が必要になりますので、歯科医院または総合病院の口腔外科を速やかに受診して下さい。

今回は子どもが歯をぶつけた時の対応と治療法についてまとめてみました。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。

葵会グループ
AOI国際病院 歯科口腔外科部長(神奈川県川崎市川崎区)
医療創生大学 歯科衛生専門学校校長(千葉県柏市)
田島聖士

【参考文献】
・新版家族のための歯と口の健康百科(伊藤公一他、医歯薬出版株式会社)

プロフィール
田島聖士

日本大学松戸歯学部を卒業後、2004年から11年間、防衛省海上自衛隊の歯科医官として勤務し、2010年に遠洋練習航海(世界一周コース)で約5ヶ月間の洋上勤務(練習艦「かしま」)、2011年には東日本大震災で歯科災害派遣(護衛艦「ひゅうが」)の経験を持つ。
2015年からAOI国際病院歯科口腔外科での臨床の傍ら、深層学習アルゴリズムを用いた歯科エックス線画像のAIシステム開発を行っており、2025年から日本初の「エックス線歯科健診」の社会実装を開始する。
また、葵会グループ統括本部 医療DX戦略部長、医療創生大学歯科衛生専門学校長も兼任している。

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