医療従事者における経営大学院・MBAについて

医療従事者における経営大学院(MBA) 歯科関係者向け情報
医療従事者における経営大学院(MBA)

この記事では、医師・歯科医師・薬剤師・看護師・歯科衛生士・歯科関連企業等の医療従事者にとって、経営大学院(MBA)で学ぶ意義や、具体的な学びの内容、国内外の主要な経営大学院などについて紹介いたします。
私は2025年からグロービス経営大学院 東京校の本科生として入学したため、実体験を記載させて頂きます。

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MBAとは

MBAは「Master of Business Administration」の略で、日本語では「経営学修士」と呼ばれる学位であり、経営学の大学院修士課程を修了すると授与されるものです。


​MBAプログラムでは、経営戦略、マーケティング、アカウンティング、ファイナンス、リーダーシップといった企業経営に必要な知識を体系的に学ぶことができます。​


さらに、論理的思考力、課題解決力、コミュニケーション力など、複雑なビジネス環境において重要なスキルを身につけることができます。

経営大学院の一覧と特徴(国内・国外)

MBA(経営学修士)は世界中に教育機関がありますが、選ぶ際は「実務性」・「ネットワーク」・「学びの柔軟性」・「分野の強み」など、個々人の目的に応じた選定が重要になります。
ここでは、歯科・医療従事者の目線で、注目すべき国内外のMBAスクールを紹介します。


【国内の主な経営大学院】

グロービス経営大学院(東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・オンライン校)

  • 特徴
    • 社会人向けに特化した実践型MBA
    • ケーススタディ中心の参加型授業
    • 経営の基礎から「志」の探求まで一貫した学び
    • 全授業がオンラインでも受講可能(※通学とのハイブリッドも可)
    • 医療従事者の受講生も多数在籍
  • メリット
    • 仕事との両立がしやすく、柔軟に学べる
    • 医療×経営の視点が身につく
    • 多彩な業界の仲間とネットワーク形成できる

▶ 詳細:https://mba.globis.ac.jp/


一橋大学大学院 経営管理研究科(東京都)

  • 特徴
    • 国立大学として高水準の研究・教育を実施
    • 論理的思考力とリーダーシップ開発に強み
    • 社会人向けMBA(イブニングやサタデー)も開講

▶ 詳細:https://www.sba.hub.hit-u.ac.jp/


慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(東京都)

  • 特徴
    • ケースメソッドと実務家教員による指導が中心
    • 国内屈指の企業ネットワークと実績
    • 国際認証(AACSBなど)取得

▶ 詳細:https://www.kbs.keio.ac.jp/


早稲田大学大学院 経営管理研究科(東京都)

  • 特徴
    • 国際色豊かなプログラム
    • 起業・イノベーションを重視
    • 海外提携校との交流も活発

▶ 詳細:https://www.waseda.jp/fcom/wbs/


名古屋商科大学ビジネススクール(東京・大阪・名古屋・オンライン校)

  • 特徴
    • ケースメソッド100%の授業スタイル
    • 国内初の三冠国際認証(AACSB、EQUIS、AMBA)を取得
    • 医療マネジメント専攻あり(医師・歯科医師の受講実績も多数)

▶ 詳細:https://mba.nucba.ac.jp/


神戸大学大学院 経営学研究科(兵庫県)

  • 特徴
    • 長年の伝統を持つMBA教育
    • グローバル経営やベンチャー支援にも注力
    • 平日夜間・週末集中の社会人向けコースあり

▶ 詳細:https://b.kobe-u.ac.jp/


【海外の主要経営大学院】

ハーバード・ビジネススクール(アメリカ)

  • 特徴
    • 世界で最も著名なMBAスクールの一つ
    • ケースメソッド教育の元祖
    • リーダーシップ開発に特化した環境

スタンフォード大学経営大学院(アメリカ)

  • 特徴
    • イノベーションと起業支援に注力
    • シリコンバレーとの強固な連携
    • デザイン思考や創造性重視のカリキュラム

ペンシルバニア大学 ウォートン・スクール(アメリカ)

  • 特徴
    • ファイナンスや統計分析に強み
    • 世界最大級のアルムナイネットワーク
    • データドリブンな経営教育が魅力

INSEAD(インシアード)ビジネススクール(フランス・シンガポール)

  • 特徴
    • 世界屈指の多国籍キャンパス
    • 1年制プログラムでスピーディーに修了可能
    • 国際的な医療・製薬系出身者も多数在籍

ロンドン・ビジネススクール(イギリス)

  • 特徴
    • 欧州トップクラスのMBAスクール
    • グローバル企業との連携が豊富
    • 柔軟な履修スタイル(15〜21ヶ月)

IESE(イエセ)ビジネススクール(スペイン)

  • 特徴
    • リーダーシップと倫理観の育成に定評あり
    • 2025年FT世界ランキング第3位(Financial Times調べ)
    • 医療経営に関心の高い学生も多い

医療従事者におけるMBA取得の意義

医療従事者がMBAを取得することには、以下のような意義があります。​

  1. 経営知識の習得
    ​医療機関の運営には、医療技術だけでなく、経営的な視点も不可欠です。​MBAプログラムでは、財務管理、マーケティング、人材マネジメントなど、医療機関の経営に必要な知識を体系的に学ぶことができます。 ​
  2. マネジメント能力の向上
    組織のリーダーとして、チームを効果的に運営するためのスキルや、多職種連携を推進する能力を高めることができます。
  3. キャリアの多様化と選択肢の拡大
    MBAを取得することで、医療現場のみならず、医療法人の経営層、医療関連企業(製薬、機器、ITなど)、行政、コンサルティングなど多方面でのキャリア展開が可能になります。経営知識を備えた医師や歯科医師、看護師などのニーズは今後ますます高まると考えられます。
  4. イノベーション創出力の強化
    MBAでは「課題解決型の思考」を学びます。特に現場で感じている「なんとなくおかしい」「もっと良くできそうだ」といった違和感を、経営的なアプローチで体系立てて改善へつなげる力が身につきます。これは、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI導入などの推進にも不可欠と思います。

グロービス経営大学院での学びと特徴

私が通っているグロービス経営大学院は、社会人に特化した実践的なMBAスクールです。特に、以下のような特徴があります。

実務直結のカリキュラム

ケーススタディやディスカッション中心の授業で、知識を「知っている」だけでなく、「使える」レベルまで高めていきます。自院の課題や事業にそのまま応用できる点は、非常に魅力的です。

多様なバックグラウンドの仲間

受講生には医師や歯科医師などの医療系から、商社・IT・メーカー・金融・官公庁など、多種多様な業種の社会人が在籍しています。異業種からの視点は、新たな発想や刺激をもたらしてくれます。

柔軟な学び方(通学・オンライン)

平日夜間や週末、オンライン受講など、働きながら学ぶことができる柔軟な時間設計が魅力です。特に医療従事者にとって、この柔軟性は非常に重要です。

グロービス経営大学院で履修できる科目

以下はグロービス経営大学院で履修できる主な科目です(2025年時点)。

基礎科目

  • クリティカルシンキング
  • アカウンティング(会計)
  • ファイナンス
  • マーケティング
  • 組織行動とリーダーシップ
  • テクノベート(技術×経営)

応用科目

  • 経営戦略
  • ビジネス アナリティクス
  • ビジネス プレゼンテーション
  • ブランド戦略
  • サービスマネジメント
  • 人材マネジメント
  • ベンチャー マネジメント
  • ベンチャー キャピタル&ファイナンス
  • 事業開発とイノベーション
  • ビジネス サイバーセキュリティ
  • サスティナブル経営とリーダーシップ

創造科目

  • 志の探求
  • リーダーシップ開発
  • 経営者の思考と行動

特に「志の探求」や「リーダーシップ開発」などは、単なるスキル取得にとどまらず、「自分はなぜ経営するのか」「どう生きるのか」を問い直す重要な時間になります。

最後に

医療の現場は、「知識・手技・経験」が大きな価値を持つ一方で、時代の変化への適応が求められています。経営環境の変化、働き方の多様化、技術革新などにどう向き合うか。これは一人ひとりの自己成長の課題でもあります。

経営大学院では、「あなたは何のために経営を学ぶのか?」という問いが投げかけられます。
・自院をもっとよい組織にしたい
・地域医療に貢献したい
・医療の仕組みそのものを変えたい
・家族や仲間を守りたい 
など、、それぞれによって回答が異なるかと思います。

皆さんも自身の人生や医療の未来を考える時間として、MBAという選択肢に触れてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。

プロフィール
田島聖士

日本大学松戸歯学部を卒業後、2004年から11年間、防衛省海上自衛隊の歯科医官として勤務し、2010年に遠洋練習航海(世界一周コース)で約5ヶ月間の洋上勤務(練習艦「かしま」)、2011年には東日本大震災で歯科災害派遣(護衛艦「ひゅうが」)の経験を持つ。
2015年からAOI国際病院歯科口腔外科での臨床の傍ら、深層学習アルゴリズムを用いた歯科エックス線画像のAIシステム開発をしており、2025年から日本初の「エックス線歯科健診」の社会実装を行っている。
また、葵会グループ統括本部 医療DX戦略部長、医療創生大学歯科衛生専門学校長も兼任している。

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