この記事では、最新のChat(チャット)GPT-4とBing AIチャットに関する情報と賢く便利な使用方法をまとめました(2023年5月現在)。
話題の生成系AI(Generative AI:ChatGPT、Bing AI、Bard、Notion AI、Midjourney、Stable Diffusion等)の中でも、会話型AIのChatGPT-4とBing AIはバージョンアップし機能も素晴らしいですが、それよりも入力方法などの使い方に重要なポイントがあります。
さらに、Microsoft Rewardsなどの有益な最新情報も記載していますので、ぜひ本記事のTipsをご活用ください。
また、「ChatGPTによって指定した分野のPubMed論文を要約して毎日メールかLINEしてもらう方法」の記事はこちらをご覧ください。
ChatGPTとは
OpenAI(CEO:サム・アルトマン、2015年創業)が開発し、2022年11月にリリースした対話型の自然言語処理AIモデル(チャットボットツール)のウェブアプリケーションです。
OpenAIは、2015年12月に設立された人工知能(AI)を研究し提供するアメリカの組織です。設立当初はイーロン・マスクらの投資家が約10億ドルを出資し非営利団体としてスタートしましたが、現在は営利団体として活動しています。
ChatGPTは、大量のテキストデータを学習させて大規模な自然言語処理AIモデルです。
インターネット上の膨大なテキストデータを集積し、人間からの質問に自然な文章を生成して的確な回答ができるチャット形式のWebアプリケーションになっています。
ただし、犯罪等に関連する質問は制限されています。
ちなみに、GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略です。
使用方法・アカウント作成
まず下記サイトから、OpenAI(ChatGPT)のアカウントを作ります。
アカウントの登録には、e-mailアドレス(またはGoogleアカウントやMicrosoftアカウント)と電話番号が必要となります。
GPT-3.5とGPT-4の違い
どちらも2021年9月までのデータを用いて学習したモデルになります。ChatGPTはインターネット中の言葉を5兆語も学習していると言われています。
バージョンの違いとして、2022年11月にリリースされたGPT-3.5(無料利用可)と2023年3月にリリースされたGPT-4(有料:20 USドル/月)があります。
GPT-4はGPT-3.5より10倍以上の作業量ができるように進化しています。
GPT-3.5は司法試験受験者の下位10%の実力に対して、GPT-4は司法試験受験者の上位10%の頭脳があるとされています。
GPT-4の実力:歯科医師国家試験
2023年1月に行われた第116回 歯科医師国家試験の問題を解いてもらった結果を下記に示します。
一瞬でこれらの解答を出す実力があるので、質問の仕方を上手に行えば、ChatGPT-4は最強の家庭教師になると思います。
ポイント①:入力方法2つ
まず、「○○のついて教えて」というような漠然とした質問はやめましょう!
私も最初はGoogle検索の名残からこのようにやっていましたが、この方法では期待している結果を得ることができませんでした。
これは、人工知能や機械学習における“Garbage In, Garbage Out” (ゴミを入れたら、ゴミしか出てこない)と言われているもので、「品の悪いデータを入力すれば、品の悪い結果しか出てこない」という意味です。
そのため、ChatGPT-4の特徴を押さえて、下記のように質問すると知りたい情報が得られると思います。
・役割を与える
例えば、「あなたは歯科医師歴30年のべテラン先生です」、「あなたは幼稚園の先生です」、「あなたは初めて歯科医院で働く歯科助手です」などと入力することにより、その役割に応じた内容(話し方や文章の難易度)を調整して返答してくれます。
・制限を与える
例えば、「○○字以内で教えて下さい」や「○○の理由を箇条書きで教えて下さい」」などと入力することにより、その制限内で端的に返答してくれます。
ポイント②:調整方法3つ
・○○の観点を入れて
会話の途中で「患者目線の観点を入れて」や「歯科医師の観点を入れて」などと入力すると、分かりやすい回答が返ってきます。
・具体例を足して
チャット中に度々「具体例を足して」と入力すると、例を提示した返答をくれます。
・表にしてまとめて
会話の最後に「これまでの会話を表にしてまとめて」と入力すると、一覧表にまとめて示してくれます。
ポイント③:必殺技2つ
・何か追加の情報があれば私に質問して下さい
チャット中、逆にこちらからChatGPTへ「何か追加の情報があれば私に質問して下さい」と質問すると、条件を絞った会話が進み知りたい情報が得られます。
・先生として使う
はじめに「あなたは先生です」と設定して、質問を繰り返しChatGPT-4を家庭教師として使用すると、会話を通して様々な情報を得ることができます。
患者説明文等の文章作成:方言も可
診療において、診断結果や治療方法など患者さんへ分かりやすく説明したい場合もChatGPTを利用することができます。
例えば、「あなたは歯科医師歴10年の優しい先生で、患者さんは小学5年生です。コンポジットレジン修復治療について、会話形式で分かりやすく説明して下さい。」と入力すると次のような結果を出してくれます。やはり、状況を絞り込んで入力することが重要となります。
また、次のような方言にも対応できます。
「あなたは歯科医師歴10年の先生で、患者さんは大阪弁を話す80歳のおばあちゃんです。上の前歯が虫歯で残根状態になっています。その歯の麻酔と抜歯について、あなたも大阪弁で会話形式にして、平易な文章で分かりやすく説明して下さい。」と入力すると↓
その他にもこのような会話形式で指定すれば、
・口頭試問の練習
・就職面接のリハーサル
などもできます。
また、法律・税務・経営等についても、ChatGPT-4を弁護士や税理士等と指定し役割を与えて、質問を絞っていくと有益な情報が得られます。
さらに、結婚式での祝辞スピーチ、会合での挨拶などにもその文章のアイデアを出す際にも便利に活用できると思います。
文章要約:文字数調整など
作成した抄録(日本語・英語ともに)や論文を「○○字以内で要約して」と指定すれば、その条件で要約してくれるため学会発表前や論文作成時に役立つと思います。
また、論文要約だけでなく、長いインターネット上の記事要約もできるため、簡潔にしてまとめて保存しておきたい場合などは便利に使用できます。
指定した分野のPubMed論文要約をして毎日メールかLINEしてもらう
ChatGPTによって、指定した分野・キーワードに関するPubMed新着論文の要約した内容を毎日メールしてもらう方法については、下記サイトにその利用方法をまとめてありますので、ぜひご活用ください。
論文等の英文校正
皆さんが書いた英語論文や抄録などを用いて、次のような文章(プロンプト:prompt)を入力すれば、ChatGPTが英文校正してくれますのでご利用ください。また、追加質問をすれば修正した理由も教えてくれます。
Please correct and improve of my English sentences. I ask you to modify my sentences to be more scientific and academic without changing the meaning of the sentences. Furthermore, please also correct any grammatical errors.
My sentences are “英文校正したい文章を入力する”.
下記は私が2022年に執筆しJOMSMP学会誌(Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology)に掲載された歯科エックス線AI論文の一部をChatGPTに英文校正してもらった結果になります。
参考としてChatGPTは英文校正だけでなく、2023年1月に医学論文の著者にもなっています。
ただし、Science誌ではChatGPTの利用に規制があり、ChatGPTが作成した文章は盗作扱いで不正行為と規定されているため注意が必要です。英文校正で利用する場合は問題ありません。
Bing AI チャットについて
Bing AI チャットは、Microsoft社から2023年2月にリリースされた対話型のAIチャットツールで、現在無料で使用でき、日本語での質問や回答にも対応しています。
正式名称は「新しいBing」ですが、「Bing AIチャット」、「Bing AI」、「Bing Chat」などと呼ばれています。
Bing AIの機能は、「Copilot」(コパイロット)と呼ばれており、これは「co-pilot」・「副操縦士」という意味になっています。つまり、ユーザーが機長(パイロット)で、Bingが副操縦士(Copilot)ということです。
Bing AIを利用するには、Microsoftアカウントでログインする必要があります。
Microsoft 社(CEO:サティア・ナデラ)が、OpenAI(ChatGPT)に対して多額の出資をしていることもあり、Bing AIではOpenAIの大規模言語モデルGPT-4が利用できるようになっています。
Bing AIは、GPT-4とMicrosoft社独自のBing検索の両方を採用(Microsoft Prometheus(プロメテウス)という技術)しており、2023年5月4日に機能の大幅なアップデートがあり、Bing AIはWebブラウザのMicrosoft「Edge」のみで利用可能です。
Bingは独自の検索技術を採用しているため、GoogleやYahoo! JAPANとは異なる検索結果を示します。プライバシー保護をコンセプトとする検索エンジンDuckDuckGo(ダックダックゴー)のソースとしても使用されています。
ChatGPTは現在2021年9月までのデータでの学習結果ですが、Bing AIは最新のリアル情報も回答が可能です。
ただし、回答の文字数(1回あたり2,000文字)や回数(1スレッドあたり20回)に上限があります。
さらに、Bing AIは「Bing Image Creator」という画像生成AIが使用でき(OpenAIのDALL·Eに接続)、誰でも簡単に無料で画像を作成することができ、100以上の言語で使用可能となっています。
Bing AIは、今後もMicrosoft Word・Excel・PowerPointなどの連携、レストラン予約、専門的で高度な回答ができるようにアップデータも予定しているようです。
また、「Microsoft Rewards」という新機能もあり、Bingを使用するだけでポイントがたまっていきます。5,250ポイントを貯めるとAmazonギフト券¥600分が貰えます。
同じアカウントであれば、スマホとPCの「Edge」の両方でポイントを貯めることが可能です。
その他の会話型AI:Notion AI・Bard
・Notion AI
Notion社が開発した対話型の自然言語処理AIモデルのウェブアプリケーションです(2022年11月にリリース)。Notion AIでも自然言語処理、質問応答、プログラムコード生成、英文校正、テキスト要約、表作成等をすることができます。
無料版:0円(利用回数:月20回)
有料版:10ドル/月(利用回数:無制限)
・Bard
Google社が開発した対話型の自然言語処理AIモデルのウェブアプリケーションです(2023年4月に日本からのアクセスも可能になりました)。Bardも自然言語処理、質問応答、プログラムコード生成、英文校正、テキスト要約、表作成等をすることができます。
その他の情報検索AI:Perplexity AI
ChatGPT-4ではPubMedなどの引用元を教えてくれることはありません。引用元と一緒に検索したい場合は「Perplexity AI」がおすすめですので使ってみて下さい。
ChatGPTを巡る裏の戦い:Microsoft vs Google・Amazon
Microsoft (CEO:サティア・ナデラ)は、OpenAI(ChatGPT)に対して2019年から約10億ドルの出資をしており、今年から数十億ドル、ベンチャーキャピタル(VC)と併せて約100億ドルの出資を行うことを表明しています。
Microsoft vs Google
ChatGPTは2022年11月のリリースからたった2ヶ月で、月間アクティブユーザー数が1億人を突破し、現在のOpen AIの時価総額は3兆千億円になっています(2023年4月時点)。
そのため、Google(CEO:サンダー・ピチャイ)は、情報検索のスタンダードである「ググる」ことが無くなる危機感が生じ、グーグルは2023年12月、「ChatGPT」の公開を受け「コードレッド(緊急事態)」を発動しました。
2023年3月にはグーグルはその対抗として、会話型AI「Bard」を開発し、アメリカとイギリスでローンチ(新サービスの開始)しています。
Microsoft vs Amazon
Microsoftは今後OpenAI(ChatGPT)が使用するクラウドサービスを「Microsoft Azure(アジュール)」にすることを契約した上で、多額の出資をしています。
これにより、マイクロソフトは、これまでクラウドサービスで先頭を走ってきたアマゾンののクラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」をも追撃しようとしています。
マイクロソフトは近年「GAFA」に遅れをとっており、OS「Windows 95」をローンチした1995年以来の世界奪還を目指し、覇権争いをしているような構図が見てとれます。
個人的にはこれからのマイクロソフトの逆襲という目線も面白いと感じています。
まとめ
ChatGPT-4はその他の機能として、翻訳、エクセル資料の作成、プログラミング、プラグインの検索などもできますので、自分がやりたいものを色々と試すと新たな発見があるかもしれません。
たった毎月20ドルで優秀なアシスタント、むしろ知識豊富な先生の頭脳が使用できるのですから、皆さんChatGPT-4をガンガン利用しましょう!
これからは、AIを使いこなす人(仕事を作る人)と使えない人(仕事を奪われる人)の差がますます広がるように感じます。最新テクノロジーを上手に使って、日常生活や仕事を楽しんでいきましょう。
【参考資料】
・20230410_グロービズ経営大学院_ChatGPT
・20230217_AIの進化と日本の戦略_松尾研
・【GPT-4の使いこなし方①・②】中田敦彦のYouTube大学
・【ChatGPTとBard】AIがついに世界を変える!ネット時代の覇者Google vs 逆襲のMicrosoft 中田敦彦のVoicy
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