人工知能と歯科⑤【エックス線歯科健診について】

エックス線歯科健診システム 患者様向け情報

この記事では、2025年から4月からAOI国際病院 健康管理センターでスタートする「パノラマエックス線画像による歯科健診」についてご紹介します。
プレスリリース(PRTIMES 2024年12月4日)はこちら

「健診から医科歯科連携」をキーワードとして、体の健診(人間ドック)時に顎のエックス線写真を撮影するだけの検査です。

本歯科健診システムでは、開発した歯式AIを用いて歯科医師が評価し、歯科健診結果報告書を作成してフィードバックします。

AOI国際病院では2017年から「歯科口腔外科領域におけるエックス線画像のAI開発」を行っており、この歯科健診分野から社会実装となります。

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歯科エックス線画像を用いた歯科健診システムのご案内

・2025年4月から本サービスを開始いたします。
・1枚のエックス線画像から、歯周病、虫歯、歯の本数、根の病気、顎の病気などを検査します。
・体の健診・人間ドック時に顎のエックス線を撮影する(約15秒)だけの検査です。
・撮影したX線画像、エックス線歯科健診結果報告書とともに、歯科医師会加入の歯科医院リストを郵送、またはメールします。

本歯科健診の特徴

・視診による通常の歯科健診では把握できない顎骨病変や歯科疾患の早期発見が期待できます。 
・AI技術も使用し歯科医師が画像を確認して所見を記入します(※使用するAIは歯の数と番号を認識する歯式AIのみになります)。
・我慢できない歯痛が出る前に早期発見をお勧めします。
・健康診断におけるオプション検査の1つです。
・口腔内の客観的な検査で、数年に一度の定期的な検査をお勧めします。
・当院倫理委員会の承認を受け臨床研究として実施します。

本歯科健診システムで診断可能な疾患

パノラマエックス線に写る以下の病気が対象になります。
・歯周炎(歯周病、歯槽骨の状態から判定します)
・う蝕(虫歯)
・根尖病巣(根の病気)
・根分岐部病変(根の股の病気)
・顎骨嚢胞(顎の膿の袋)
・智歯周囲炎(親知らずの炎症)
・インプラント周囲炎(インプラント周囲の炎症)
・上顎洞疾患
・顎関節の異常など

※本検査はエックス線画像を用いた検査のため、エックス線に写らない小さい虫歯や舌・歯肉がん等の軟組織疾患は認識できません。

歯科健診の申し込み先

予約の受付開始は、2025年2月からになります。

健診のご予約は下記の専用ダイヤルまでご連絡下さい。
AOI国際病院 健康管理センター 予約専用ダイヤル
電話番号:044-277-5762
平日 8:00~16:00 / 土曜(第1~3) 8:00~16:00

費用とパンフレット

令和7年度(初年度)の特別費用(予定)
・人間ドックのオプション 1,100円(税込)
・エックス線歯科健診のみ 2,200円(税込)

Screenshot

今後の展望

本歯科健診では、結果となる「エックス線歯科健診 結果報告書」と歯科医師会加入の歯科医院リストとともに郵送またはメールし、歯科受診の勧奨、およびかかりつけ歯科医院への定期受診を推奨します。

企業の福利厚生の一環として、体の健診と同時にエックス線歯科健診を行うことにより、突発的で激痛が特徴の歯痛を予防することができ、発症前の歯科受診が可能になります。

本歯科健診は、かかりつけ歯科を作ること、定期的な歯科受診率を上げるための一つの方法と考えており、予防のために歯科受診する国民を増やしたい政府骨太方針の「国民皆歯科健診」の理念に沿っています。

歯科疾患の早期発見、予防歯科医療の啓発
➡歯科受診に繋げる
➡口腔の健康増進
➡全身の健康増進
➡健康寿命の延伸
➡医療費の削減

また、歯科健診の受診率が少ない現状は、医科と歯科の健診が別々になっていることも一つの要因と考えられます。そのため、体の健診・人間ドックの一つとして「エックス線歯科健診」を行う「健診から医科歯科連携」を推奨しています。
今後は他の健診センター等を繋ぐ遠隔読影システムの構築も目指しております。

視診による評価では健診歯科医師による差が少なからずありますが、エックス線画像を用いた客観的評価を行うことで健診の標準化が期待され、さらに前回のパノラマエックス線画像データとの比較も可能となります。

将来的に、歯科エックス線画像や歯科健診結果をPHR(Personal Health Record)として、マイナ保険証(マイナンバーカード)内にデータとして保管する運用となれば、歯科受診時の利用だけでなく、災害時の個人識別への応用も期待されます。

さらに、このエックス線画像の蓄積によるデータ分析は、国民の歯科疾患における貴重なヘルスケアデータとなり、今後の口腔衛生や歯科医療発展における礎となると考えられます。 

参考資料

担当者:
葵会グループ
AOI国際病院 歯科口腔外科 部長
医療創生大学 歯科衛生専門学校 校長
田島聖士

【今後の講演予定】
令和6年度 日本口腔衛生学会 関東地方研究会学術大会
・日程:2025年2月16日(日)13:00~17:00
・会場:日本大学松戸歯学部 50周年記念講堂
・シンポジウム:口腔から全身を考えるボーダレス化に向けて

【特許】
歯科疾患AI診断支援システムの特許について:特許査定
特許の名称:歯科分析システムおよび歯科分析X線システム
特許出願日:2018年6月4日、特許取得日:2021年1月27日
出願番号:特願2018-107011、特許番号:特許第6830082号
特許発明者:田島聖士
特許出願人:田島聖士、医療法人社団葵会

歯科検診AIシステムの特許について:特許出願中
発明の名称:歯科検診AIシステム、歯周病検診AIシステム、および歯科総合検診AIシステム
出願番号:特願2022-115476
特許発明者:田島聖士、特許出願人:田島聖士・医療法人社団葵会
特許出願日:2022年7月20日

【プレスリリース】
歯科エックス線画像を用いた歯科健診サービスについて. (葵会グループ 医療法人社団 葵会 AOI国際病院)PRTIMES. 2024年12月4日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000073133.html

【参考資料】
・田島聖士, 園田央亙ら: パノラマエックス線画像における根分岐部病変を自動検出するAIモデルの開発. 日本歯周病学会誌, 2021.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/63/3/63_119/_article/-char/ja

・Satoshi Tajima, Yoshiyuki Okamoto, Takashi Kobayashi, Maiko Kiwaki, Chikanobu Sonoda, Kaori Tomie, Hiroto Saito, Yoshimi Ishikawa, Takayoshi Shintani: Development of an automatic detection model using artificial intelligence for the detection of cyst-like radiolucent lesions of the jaws on panoramic radiographs with small training datasets. Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology, 2022
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2212555822000345?dgcid=author

・Nスタ TBSテレビ, TBS NEWS DIG. 2022.5.30

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