この記事では歯科と医科の放射線被ばくについて、放射線医学総合研究所と環境省のホームページを参考にして患者様向けにまとめました。
放射線被ばくとは
私たちは生活している間に自然界からの放射線を浴びています。
国連科学委員会の報告(2000年)では、放射線被ばく量の合計は年間約2.4mSv(ミリシーベルト)です。
その内訳は宇宙からの放射線が約0.4mSv、大地からの放射線が約0.5mSv、食物からの放射線が約0.3mSv、大気からの放射線が約1.2mSvです。
飛行機で東京とニューヨークを1往復した場合では、約0.2mSvの放射線被ばくがあります。
歯科におけるデジタルエックス線撮影1回の被ばく量
・デンタルエックス線撮影(部分的な歯のエックス線写真):0.01 mSv
・パノラマエックス線撮影(顎全体のエックス線写真):0.03 mSv
・歯科用CT(コーンビームCT):0.1 mSv
デジタルエックス線の場合には、放射線被ばく量が非常に少なく、これは通常生活している間に自然界から受けている自然放射線の量と比較して非常に微量のため安心です。
エックス線撮影の際にはエックス線防護プロンを着用することがあります。
これは特殊な加工により、放射性物質の透過を緩和するため体への影響を減らすことができます。
妊婦のエックス線撮影
歯科エックス線は、胎児に影響はないとされています。
産科ガイドラインでは「受精後11日~妊娠10週での胎児被ばくは奇形を発生する可能性があるが、50mGy未満では奇形発生率を増加させない」と記載されています。
頭部の単純撮影による胎児被ばく量は0.01mGy以下のため、歯科用X線撮影は問題になることはありません。
医科放射線検査1回における被ばく線量の一覧
・胸部エックス線撮影:0.06 mSv
・頭部CT:2.4 mSv
・胸部CT:9.1 mSv
・上腹部CT:12.9 mSv
・下腹部CT:10.5 mSv
・PET検査: 2~10 mSv
・乳房撮影(マンモグラフィ):2 mGy
今回は放射線被爆についてまとめてみました。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
【参考文献】
・放射線医学総合研究所HP: https://www.nirs.qst.go.jp/data/pdf/hayamizu/j/20160401.pdf
・放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料, 環境省HP:https://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo-01.html
コメント