この記事では口唇などのできもの(粘液嚢胞)について、これまでの臨床経験と知見を中心に患者様向けに詳しくまとめました。
粘液嚢胞〈ねんえきのうほう〉とは
粘液嚢胞は、口唇の粘膜を咬むことなどにより、唾液が出てくる管が詰まって唾液が貯まり、風船のように膨らむ病気です。下唇や舌に多くみられるやや白色のできもので、潰れたり出来たりを繰り返しますが、一般的に痛みはありません。
舌下腺からの唾液が口底部に貯留してできる粘液嚢胞のことは特にガマ腫といいます。
粘液嚢胞は、腫瘍ではありませんので悪くなる(悪性化)ことはありません。
大きさが小さく気にならない場合は、そのまま経過観察で問題ありません。つぶれて小さくなることもありますが、また唾液が貯まって腫れを繰り返します。
何度も繰り返し出来ている場合、少しずつ大きくなり気になるため、生活に支障が出てくることがあります。
治療方法
基本的に自然に治ることはないため、4mm以上では外科的な摘出がお勧めです。
局所麻酔後に切開して粘液嚢胞を摘出し、最後に縫合して終了です。その際、原因となっている小唾液腺も一緒に摘出します。
縫った糸は1週間後に抜糸します。
摘出後に、硬くしこりが残ることもありますが、時間の経過とともになくなっていきます。
また、摘出後に再発することもありますので、その際は担当の歯科医師にご相談ください。
今回は唇のできもの(粘液嚢胞)についてまとめてみました。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
葵会グループ
AOI国際病院 歯科口腔外科部長(神奈川県川崎市川崎区)
医療創生大学 歯科衛生専門学校校長(千葉県柏市)
田島聖士
【参考文献】
・新版家族のための歯と口の健康百科(伊藤公一他、医歯薬出版株式会社)
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